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和泊町えらぶ島づくり事業協同組合

更新日:3月22日


南海日日新聞記事


和泊町えらぶ島づくり事業協同組合


沖永良部島で働きたい人と、島で働ける人材を求めている事業者をつなぐ特定地域づくり事業協同組合「えらぶ島づくり事業協同組合」(平安正吾代表理事)が2021年に発足した。和泊、知名両町の農業や商業、医療・介護、宿泊業など8事業者が加盟し、組合事務所は和泊町に設置。若者や移住者を正職員として雇用し、繁忙期など事業者の労働需要に合わせて働き手として派遣する事業を手掛けている。人手不足の解消に加え、若者の定着や移住者らの就労や定住をする新たな仕組みとして注目を集めている。( 蘇嘉瑞人)


特定地域づくり事業協同組合は、離島や中山間地域を対象に、地域社会の維持や地域経済の活性化を目的に20年6月に施工された「特定地域づくり事業推進法」に基づく組織で、都道府県知事が認定する。


許可制の労働者派遣事業を届けることで実施でき、派遣労働者の人件費と組合事務局の運営費に対し、国や市町村から2分の1の助成を受けることができる。

 えらぶ島づくり事業協同組合は、県内で初めて特定地域づくり事業協同組合の認定を受けた。全国では13例目で、複数市町村を対象とした組合としては全国初となる。

労働者派遣事業を開始した21年度は、21〜34歳のU・Iターン者8人を雇用。平均年齢は26.5歳で、男性2人、女性6人。

 組合職員の給与は、労使協定を結んだ上で、基本給をベースに支給される。社会保険に加入し、最大2万円の住居手当や実費相当額の交通費手当などもある。

 組合職員で兵庫県出身の谷拓実さん(25)は、和泊町国頭の南国きのこ苑(末川茂文代表取締役)でキクラゲ栽培の作業に従事している。オーストラリアやニュージーランドのバナナ園などで勤務経験があり「日本に帰ってきて、海があって、これまで知らなかった土地で新しい生活をしたいと思った」と移住先を探し始めた経緯を話した。

 移住情報サイトの組合募集情報で沖永良部島のことを知り、組合が開催した移住体験のオンライン交流んどを通じて「島の人に接し、島に魅力を感じて移住を決めた。体を動かす仕事は好きなので満足。休日はサーフィン。島に来て正解」と笑顔で語った。

 南国きのこ苑は、パートを含めた従業員18人。組合からは谷さんに加え、事務職1人の計2人の派遣を受け入れている。末川代表(69)は「島は若い人が少なくなっていて、働き手を募集しても集まらず、人材不足で困っている。生き物相手の仕事なので、職場に休みはない。組合職員の派遣はものすごく戦力になっている」と歓迎する。

 同組合に加入している8事業者の内訳は農業が3事業者、食品製造業、医療法人、介護福祉施設、小売業、ホテル・観光業が各1事業者。職員の派遣を受けた事業者は、職員1人の労働時間1時間当たり1100円(税込)の利用手数料を組合へ支払う。

 組合員で和泊町手々知名の花農園、沖フラワー(沖宏光代表)は、パートを含めた従業員は16人。うちベトナムからの技能実習生を7人雇用している。沖代表(65)は「新型コロナウィルスの影響で、外国人の雇用が難しくなってきた。人材確保の対策として組合加入を決めた」と話す。組合からの派遣に対し「組合が面接した成果なのか、しっかりとした人が多い」と評価。一方で、「農業では、自動車の運転が必要な場面がある。これまでも自分たちで募集をして、島外の日本人の若い人を雇っているが、ペーパードライバーが増えている」と課題も指摘。運転に不慣れな移住者への運転講習支援などの必要性を訴える。

 組合職員で栃木県出身の直井桜花さん(21)は、同農園でキクやソリダゴの切り花生産に従事。「農業高校出身で生き物が大好き。島の生活も畑仕事も楽しい」と充実した表情で話した。

 直井さんも運転免許は取得しているが、前職の千葉県の会社員時代も含め運転経験はほとんどない。「休みの日に、農園のバイクを借りて島のいろんなところに行き、運転は練習中」とし、「島の生活に、車は必要。いつまで島で働くかは分からないけど、車の購入も考えている」と話した。

 直井さんは組合に採用が決まった当初、住む場所がなかなか見つからず、同農園の寮を生活拠点にした。現在は、沖代表が知人に紹介してもらった町内の住居で一人暮らし。直井さんは「住む家を探すのが大変だった。今はいい家が見つかって良かった」と話した。

 同組合の平安代表理事(45)も「事業を展開していく上で、ネックになっているのは住環境整備。独自に住宅も確保するか、検討は必要」と指摘した。

 事業全体については、「いい人材が集まってくれ、組合事業者の満足度も高い。組合に加入したいという事業者からの声も多い」と手応えを感じている。22年度は、職員1人を増員する方針で「助成してくれている行政とも相談しながら、事業規模を拡大していけたら」と期待を寄せていた。

 沖永良部島では1月13日、14日の両日、えらぶ島づくり協同組合の金城真幸事務局長(53)らを講師に、特定地域づくり事業協同組合についてのシンポジウム(県中小企業団体中央主催)が行われた。

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